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by 1193ru
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雛人形

20歳の頃だったか、それとも大学を卒業した頃だったか。
私は、仙台に伝わる伝統的な人形、堤人形が欲しくて欲しくてしかたがなかった。
私は、一人娘にも関わらず、お雛様を持っていない。
それは、小さい頃から「男の子」として育てられた部分があって、そのせいだったのか、それとも雛人形に私も親も親族も興味関心がなかったせいか、女性が男性に嫁ぐ文化になじめない感覚が強かったせいか、今になっては全くわからないけど、でも、うちにはお雛様がなかった。

最近では、自分のお雛様がないから「結婚」に縁遠いのかとすら思うようにもなってきている。きっと「縁遠い」にかこつけて、この年になってお雛様を欲しがる自分を正当化したいという理由で、こんなことを思っているだけかもしれないけど・・・。
でも、私は私の雛人形が欲しい。

ずーっと興味関心がなかったお雛様。
どちらかと言えば、ちょっと怖いなぁ、というイメージがあった。
小学校の時に読んだ恐怖マンガの題材がお雛様だったからかもしれない。
でも、古美術や陶芸、民芸に目覚め始めた10代終わり頃から、堤人形のお雛様が、どうにもこうにも気になり始め、欲しくて欲しくてたまらなくなってしまった。

その当時、親戚が堤人形の工房近くに住んでおり、工房の親方とも懇意だったこともあり、堤焼きの雛人形の情報がいろいろ入って来た。
申し込みから手元に届くまで5年の歳月が最低必要だということや、5万円もすること(現在は、男雛・女雛で10万ちょっと)がわかって来ると、なぜか自分の手元には永遠に入らないものというあきらめ感が出て来た。
俄然欲しいという欲求とその真逆のあきらめ感。
その二つがせめぎあうこと数年。そうしている間に私は半身不随になっちゃって人生が180度変わってしまい、雛人形どころではなくなって・・・・結局、堤焼きの雛人形がうちに来ることはなかった。

あれから、20年近く経った今も、堤焼きの雛人形を私は持っていない。
毎年、節分を過ぎると堤焼きの雛人形に対して「欲しい」というよりはそれを越え、思慕を募らせるとうような心情が出てくる。

昔に比べたら10万円は私には身近な金額になっている。でも、やっぱり高価。
しかも、5年という歳月(今はもっとかもしれない)は、昔に比べて持病を持つ私には気が遠くなる程遠い将来。
未だに、欲しいとあきらめ感が渾然一体となってどろ〜んとこころに横たわっている。

そんなもやもやとした感覚がアンティークに目を向けさせたのか、少し前からネットでオークションや古美術商のHPを覗くようになった。
堤人形だけではなく、花巻人形や相良人形のアンティークのお雛様を探している。

うれしいことに、いくつかすてきなお雛様を見つけることもできてきた。
まだ手に入れるところまで行ってはいないけど、もしかしたら、近い将来、お雛様を自宅に迎えることができるかもしれないな、と思うようになって来ている。

永遠に手が届かないことなんて、ホントはそうそうないはず。
「永遠にてを届かなく」しているのは、自分が自分に勝手に課せた勝手な枠なんだと思う。

私のお雛様はどこにいるのかな?
私のお雛様と出会いたいと、強く、強く、思っている。
by 1193ru | 2008-02-17 23:01 | モノ