ご覧いただきまして、ありがとうございます。


by 1193ru
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

霧雨の仙台

「こっちは晴れ!いいお天気だぁ〜!」

順調に自立に向けて頑張っていたベンダーさんが、ここしばらく問題を抱え、悩みに悩んだ末、誰にも告げずに仙台を離れました。

私は霧雨の仙台で彼を捜し、支援団体やソサイエティのメンバーと連絡を取り、なんとかそのベンダーさんと会おうとしていました。

でも、その時にはもう、仙台にはいませんでした。
誰にも告げずに、昨日中に仙台を離れてしまっていたのです。

今日、夕方遅くなって電話が通じました。
彼は夕焼けの空の下、歩いているとのことでした。

彼と出会って丸一年が経ちました。
いろんなことが思い出されます。
こんな形で突然別れが来るなんて、この一年、一度だって想像したことはありませんでした。

ここしばらく問題を抱えて落ち込んでいたので、ちょくちょくお会いして話を聴きました。
その度に、お客さんの話、ビッグイシューとこれからの話、子どもの頃の話、家族の話、路上で生活した話・・・・・etc
今までの人生を振り返り、良かったことも悪かったことも、いつも反省や後悔、そこから学び自戒していること、いろんなことを、本当にいろんなことをたくさん、たくさん聴かせてくれました。

こんな形になるなんて、悲しくて、くやしくて、何度悔やんでも悔やみきれません。
路上から立ち上がり、自立し、生活も安定してきた矢先の出来事でした。
「今ね、最高に幸せなんだよ。本当にありがたいよ。わたしね、とにかくとことん頑張りますからね」
そう言っていたのに、この数週間でガラガラと崩れてしまったものがあったのでしょう。

昨晩、どんな気持ちで独り仙台を離れたのでしょうか。
想像するだけで、苦しくて、苦しくてたまりません。
長距離バス発着所のすぐ裏の店に、私は昨晩遅くまでいました。
本当にほんの数十メートルのところです。
そこから彼はなけなしのお金をはたいて、バスに乗って街を出たのでしょう。

これからの彼の人生のステージが路上ではないことを、今はただただ願うだけです。
そんな情けないことしか思い浮かばないなんて。
そんな情けないことしかできないなんて。
私は今まで何をやってきたのでしょうか。

もう彼の話を聴くことはできません。

寒い仙台の冬、一緒に路上に立って缶コーヒーをカイロ代わりにしながら「ビッグイシュー」を販売することもありません。

亡くなったベンダーのMさんのことを、二人で語り合うことも、もうありません。

私は、本当に、本当に無力な人間です。
[PR]
by 1193ru | 2006-07-09 22:13 | ビッグイシュー