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音楽と母

 冬。冷たく澄んだ夜空に輝く星たちの下、歌のお稽古の帰り道。無邪気な私と友達の後ろには、いつも笑顔の母がいた。私たちは夜空の星々に負けないくらいに瞳を輝かせながら、歌い、笑い、おしゃべりをして暗い夜道を歩いた。
 物心がついた時には、既に音楽は私の一部だった。我が家にはいつも何かしら音楽が流れていた。誕生日やクリスマスに届くプレゼントの多くはレコードだったし、両親は説明などしてはくれなかったが、自分たちのそれぞれの音楽の趣味を私に手渡そうとしていたように思う。
 そのせいか幼稚園の頃には、近所の人たちを前にいつも歌を歌っているような子どもだった。「もっと歌いたい」そんな欲求に突き動かされて、日曜学校に通い始めたのは5歳だった。
 賛美歌を歌うのは想像以上に気持ちが良かった。自分と周囲の人たちの歌声が、頭の中でコロコロと心地よく回り出す快感に魅了された。美しい歌声に浸りながら、歌詞から幾重にも広がっていくイメージを追いかけるのがたまらなく好きだった。
 教会から帰ると、どんなに心地よく音楽を親しんで来たのかを母に話すのが常だった。母はいつも好奇心いっぱいの表情で、話を聴いてくれた。時折、知っている賛美歌を一緒に歌うこともあった。また、宗教音楽のレコードをいそいそと持ってきてかけてくれた。
 子どもの頃を振り返ると、心に残る思い出には音楽があり、お決まりのように音楽とセットの母の存在がある。現在、年老いた母は耳が疲れると言って音楽を聴くことが少なくなってしまった。勿論、昔のように音楽について語り合うことも、一緒に歌うことも、もうない。しかし、母の音楽を楽しむ心は、確実に私へと受け継がれているように感じる。
 そんなことを考えながら、私は今朝もお気に入りのCDをかけて食事の支度をした。
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by 1193ru | 2006-04-16 01:11 | MUSIC