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by 1193ru
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自己糾弾から行動へ

見てしまった。
で、いたたまれない私と怒りの私と、ホントいろんな私を目の当たりにし、受け止めなくちゃと思っている。
そんな自己糾弾し内省するアマちゃんの自分により大きな怒りがこみ上げる。
大きな怒りに弾かれるように、今、動き出す私がいる。

ここしばらく、病院通いが続いている。
少し前、とある医院の待合室。
私は松葉杖にげんなりしながら治療の順番を待っていた。
そこへ慌ただしく飛び込んできた小学生。
その子が座ると同時に、次に飛び込んで来たのは、私と同じ世代の女性だった。
飛び込んできた時、すでに、彼女は興奮状態で怒りの塊となっていることが一目でわかった。
座っている小学生の前に仁王立ちになり、大声で、
「おまえなんか知らないよ!もう二度と帰ってくるんじゃないよ!帰ってきたら、ただじゃすまないよ!」
と怒鳴るやいなや履いていたパンプスを脱ぎ手に持つや、座っている小学生の顔面と頭部をバカバカ叩いたのだ!!!
びっくりした!
履物を脱いで人を叩く道具にするなんて、吉本新喜劇かドリフでしか見たことがない!
小学生は「虐待だ!虐待だ!」と叫びながら、両手で頭部をカバーしていた。
ひとしきり叩いた後、女性は医院を出て行った。
ドアガラスの向こうには、男性が一人。
一部始終見えていたはずにもかかわらず、笑顔で女性を迎えていた。

あまりの出来事にびっくりした!
我に返ると、小学生は頭部をかばった格好で声を殺して嗚咽していた。
その押し殺した声で、ようやく体が動いた。
私は、ポケットティッシュをもってその子の前にしゃがみこみ、ようやく声をかけることができた。

バカだよ。ホント。DVや虐待の被害者支援をしているくせに、叩かれている時に動けないなんて。
親子だろうと、何が原因だろうと、暴力はダメ。
人の倍わかっているのに、動けなかった。
その子は、叩かれたところよりも、ずっとずっと心が痛かったに違いない。
待合や医院にはたくさんの大人がいてその子が叩かれた時、すぐその場にいたのに、誰一人止めに入らなかった。
本当にごめん。大人のくせにね。自分の「びっくり!」ばかり優先して、本当にごめん。

その子はしばらく声を殺して嗚咽していた。
からだの振るえが空気に伝わり、その子の心の痛みが情けない大人である私たちを糾弾する。
にも関わらずだ。
何事もなかったかのように医院の空気や時間は流れていく。
片言の言葉を交わしながら、治療を待つ。
先に呼ばれた私は治療室で、医院のスタッフや先生におずおずとたずねる。
「心配なんですよ。いつも来ている子ですか?」
その子は医院の常連さんだという。
であれば、スタッフや先生は状況もご存じだろうとまた質問する。
すると、あの女性は母親だという。
「心配なんですよ。大丈夫か聞いてもらえませんか?」
スタッフはにこやかに了承しすぐに声をかけてくれたけど、「大丈夫?」と尋ねたらその子は当たり前に頭を縦にふるだけだ。
それで、その場の「声掛け」は終わってしまった。
先生は「いつものことなんですよ」と笑顔で言い、私を治療に促す。
たくさんの患者さんがいたから、その子に気遣ってのことだとはわかっていても、胸一杯にもやもやが広がる。
その後、医院の皆さんからその子に対して継続的な声掛けが続いていると思うけど、私はいたたまれない思いでいっぱいで、今でもそれを引きずっている。
何よりもその子の「痛み」が辛く、その「痛み」に加担した自分を誰よりも知っているから、心底自分に腹が立った。
本当にごめん。
君のことを見て見ぬふりをする私みたいな大人ばっかりだったら、大人なんて信用できないよね。
「助けて!」って言い出せないよね。
本当にごめんな。

しばらく前、新聞である写真を見た。
悩みを持つひとたちの相談対応をする支援者養成講座の風景の写真だ。
私は受講生の中に、子どもへ暴力を振るった人の横顔を見た。
びっくりした。
愕然とした。
怒りでいっぱいになった。
私は、暴力被害の後遺症に今も苦しむその子どもを知っている。
なんてこった。
本当になんてこった。
歯ぎしりして新聞を握りしめるだけなんて、絶対イヤだ。
この新聞、その子も見ているかもしれない。
回復に踏み出し始めたというのに、どうなってしまうのだろう。
ここでもまた私という不甲斐ない大人は、「その子が新聞を見ませんように」なんて祈るばかりで、ホント情けない。
待合室でパンプスで叩かれたあの子の様子が、よみがえる。
根本的な問題とガッチリぶつかっていない自分に腹が立つ。

だから、この怒り、必ず形にしようと私は決めたのだ。
このまま黙って唇を噛み情けない自分を糾弾し続けたって、何ひとつ変わりはしないのだから。

今、ある組織を立ち上げようとバカみたいに走り回っている。
暴力被害に苦しむ人たちが、これ以上苦しまないように。
これ以上被害者が増えないように。
もっとできる限りの力を尽くそうと決めたから、手続きの煩雑さに半ばノイローゼ気味になりつつも走り回っています。

待合室のあの子。
フラッシュバックに苦しんでいるあの子。
本当にごめん。
力を尽くしてきたけれど、いざという時役立たず過ぎる私で、ホントごめん
君たちをこれ以上失望させたくないのに。
大人のやったことは大人がきっちり片を付け、君たちを守るから。
君たちが大人を信じることができるよう、力を尽くすからね。

力もない人間が何を言うと笑う人もいるけれど、それでも私たちはやっぱりこの子たちのためにも力を尽くさなくちゃならないと思うのだ。
40過ぎていまさらだけど、それが大人の責任だと思うから。
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by 1193ru | 2010-06-05 01:16 | DV