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by 1193ru
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一雨毎に寒くなってきています。
この雨が、もうすぐひっそりと雪になり…東北の冬がやってきます。

「何を見ても何かを思い出す」。
そう言っていたのはヘミングウェイ。
本当にそうですね。
40年生きてきて、今そんな感じにセンチメンタルな思いを抱えて日々「何を見ても何かを思い出し」ているのですが、これが10年後、20年後―50歳、60歳になったら今以上にそう思うのでしょうか。
そうだとしたら、是が非でも楽しい思いでを重ねなければ!
「何を見ても何かを思い出す」。
思い出すものがどれも楽しく幸せなものであれば、いうことなしです。

困難な状況にある方とともにあるようになったのは、私にもそのような経験があるからです。
「当事者視点を実践する支援者」ではなく、「サバイバー支援者」。
困難な状況から脱し生き残った者のひとり。
それが私の人生のある一面です。
ありがたいことに、それを理解し私とともに歩いてくださる周囲の方がいます。
うれしいことに、いつも見守っていてくださる先輩方がいます。
私の全部ではなくごく一部のことですが、それを理解し支え見守ってくれる方たちのおかげで、こうして生きています。
口癖のように出る「生かしていただいている」という言葉は、ただ単なる言葉ではなく、こうした私の経験や環境が言葉を使ってにじみ出てきているものです。

しかし、非常に身近なところに入りこみ、過去の傷を知っているからこそ抉る行為にでる方もいます。
人権にかかわる仕事や立場にある方にこのようなことをする方がいることが非常に残念でありません。
困難な状況を経て前へ進もうとする方たちを支援していながら、陰でその方たちを嘲り、蔑む発言をしている方を身近に見続けた時期がありました。
このことは、私のような人間いとってはとても大きな苦しみでした。
そして、ある時期を経て、その方たちが加害者という一面を見せ始めたとき、私はその場を離れました。
大きな苦しみを味わいました。
そして激しい痛みが胸出るようになりました。
たぶん、言語化できない莫大な怒りや混乱が痛みとなって出ているのでしょう。

「何を見ても何かを思い出す」。
今朝は、そんな人を人とも思わない人たちのことを思い出し、胸が苦しくなっています。

ここしばらく繰り返し読んでいる宮地尚子著「環状島=トラウマの地政学」(みすず書房)の文章を思い出します。
「相手を敵だと思い、劣っていると思い、人間以下の動物と思い、所有物だと思っているかぎり、加害のトラウマは起きない」

雨は降る度に冷たさを増します。
サバイバー支援者として、当事者の方々と歩む道は、この冷たい雨のように体温を奪い心細く不安にさせます。
しかし、雨の中一人いる人と傘をシェアしまた一歩踏み出ることの力強さ、雨空から太陽や青空がのぞいた時の喜びを知り忘れなければ、心細さや不安を抱えつつもやっていけそうな気がします。

雨を感じながら、これまで40回繰り返した年月を思い出し奮い立てることもあります。
冷たい雨が雪になることを。雪の次は、また雨。しかしそれはもう冷たい雨ではないということを。
さらに一雨毎に暖かな雨に向う時が来て、そうこうしているうちに、私たちは春の暖かな日差しの下にたどり着くということを。

「何を見ても何かを思い出す」。
今朝は、そんな加害者のことを思い出しつつ寒さに、過去の不安に、混乱に震えました。

加害者は加害行為を終えると何食わぬ顔でそこを立ち去る。
被害者はそこにたった一人でいるのだけれども、加害者は、「そこに不在」であっても、被害者の上に君臨し続け、心身をコントロールし続ける。
だからこそ、加害者と離れても被害者は苦しみ続ける。
恐れ続ける。
誰がこの状況を理解できるのだろう。
端から見たら被害者はすでに加害者と離れているのに、なぜそこまで苦しみ続けるのかと。
第三者のトラウマ理解不能の理由のひとつだろう。
しかし、どうぞ理解して欲しい。
これが被害者を長らく苦しめ、幸せや喜び、充実感を伴った人生から遠ざける「トラウマ」というものだということを。

ヘミングウェイがトラウマについて語ったわけではもちろんないのだけど、「何を見ても何かを思い出す」という言葉は、まさに被害者の状況に当てはまるのではと思うのです。

たくさんの文章、音楽、絵画から、こころや頭に残っているものは、どれも「暴力」や「トラウマ」に繋がることばかりだと、気が付きます。
「癒し」や「生きる支え」をたくさんの文章や音楽、絵画に求めていたのでしょう。

冷たい雨はまだ降り続けていますが、数時間前とはすでに違って温かな雨に感じます。
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by 1193ru | 2009-11-14 10:07 | DV